女優分析ブログ

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【新垣結衣④】インターネットが生んだ奇跡の女優

『インターネットが生んだ奇跡の女優』

新垣結衣③】ではガッキーのブレイクを支えた、『マイ☆ボスマイ☆ヒーロー』『恋空』『コードブルー』の3作品を振り返りました。

 

そして「ガッキーの代表作である『コードブルー』に起用されるためには、『恋空』が必要不可欠だった」という結論に至りました。

 

 

ではそもそもなぜガッキーは、『恋空』に起用されたのでしょうか?

 

そして07年の邦画ランキング6位に輝いた『恋空』とは、ガッキーにとってどんな作品だったのでしょうか?

 

 

okuranatto.hatenablog.com

 

 目次 

 

『恋空』は1200万人の読者がいたケータイ小説

ケータイ小説は誰でも投稿したり、読むことができた

『恋空』は原作がケータイ小説です。

 

最近の中高生は、ケータイ小説と聞いてもピンとこないかもしれません。

 

 

このケータイ小説というのは、誰でも小説を投稿したり、読んだりできます。

 

『恋空』が掲載されていた「魔法のiらんど」というサイトは、投稿された小説を無料で読むことができます。

 

 

『恋空』は原作者美嘉さんが自分の体験を、先ほどのサイトにケータイ小説として綴ったものです。

 

実話を基にしたフィクションであり、原作者の美嘉さんと『恋空』の主人公である美嘉さんは同一人物です。

 

 

映画『恋空』のあらすじ


高校一年生の主人公田原美嘉(新垣結衣)は、ひょんなことからヒロ(三浦春馬)と出会い、付き合うことになる。

 

しかしそのことを良く思わないヒロの元カノ(臼田あさ美)は仲間を使って、美嘉をレイプするなどの嫌がらせをした。

 

 

美嘉はヒロとの子供を授かったにもかかわらず、またもや元カノに階段から突き落とされ流産してしまう。

 

二人はその悲しみを乗り越えていくが、ある日突然ヒロが美嘉に別れを告げる。

 

 

のちに美嘉は、ヒロがガンを患っているから別れを告げたと知り、当時付き合っていた人の元を離れヒロと過ごすことに決めた。

 

 

圧倒的な人気があったケータイ小説

 

『恋空』はケータイ小説の中で最も人気な作品となり、1200万人もの読者がいたそうです。

 

その一方で作者は素人さんなので、批判的な声もあります。

 

<参考サイト>破壊屋_2007年の映画の感想_恋空

 

 

私もこのブログを執筆する際に改めて、映画と原作を見ました。

 

映画はお花畑のあるシーンが、衝撃的でしたね。

 

 

他にもツッコミどころありますが。原作は小説というより、人に見せるように書いた日記という印象を受けました。

 

とはいえ、当時の女子小中高生の間ではかなり人気でした。

 

 

2006年に書籍化され、発売1カ月で上下巻合わせ100万部売り上げました。

 

2010年には200万部を突破しています。

 

 

2018年に200万部を突破した書籍で言うと、『君たちはどう生きるか』『君の膵臓を食べたい』などがあります。

 

『恋空』も2006年の文芸部門の書籍売上第3位に入っていたので、その年を代表する書籍だったと言えるでしょう。

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『恋空』がここまで話題になったのは、女子小中高生たちの習性が大きく関わっていると思われます。

 

女子小中高生とはいつの時代も、流行に乗り遅れたくないものです。

 

 

今で言うとInstagramやTik Tokが例です。

 

当時の若い女性たちも「みんなが見てるものを見たいし、みんなが持っているものを持ちたかった」のです。

 

 

2007年当時私は小学5年生だったのですが、ケータイ小説を読んでいる友人がとても多かったです。

 

朝のホームルームの読書の時間に、女の子たちはケータイ小説を読んでいる風景が当たり前でした。

 

 

ここまでで原作・書籍の勢いからからすれば、映画のヒットは確実なように思われます。

 

原作や書籍の『恋空』は、若い女性か圧倒的な支持を受けていたことが分かりました。

 

 

しかしその絶大な支持は映画界でもあったのでしょうか?

 

 

 

映画界で『恋空』は、そこまで期待されていなかった?

結論から言うと映画界で『恋空』は、あまり期待されていなかった作品だったと思われます。

 

それを示す根拠を2つ挙げていきます!

 

根拠1:経験のない若い女性が監督を務めた

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(↑一番左に写っている方が、監督です)

 

監督を務めた今井夏木さんは、『恋空』が初の監督作品でした。

 

そして後にも先にも、『恋空』以外に映画監督を務めた作品はなかったのです。

 

 

しかも当時36歳の女性。比較的若い女性という印象を受けます。

 

映画界は基本的に男性社会です。

 

 

2017年の段階で日本映画監督協会に登録されている、日本人映画監督の数は560名です。

 

その中で男女比は538:22。

 

 

女性の比率は3.9%しかないのです。


また2007年~16年の10年間で、邦画興行収入ランキングベスト10に入った女性監督の作品は100作中5作のみ。(この中に『恋空』も入っています)。

 

 

女性の監督はそもそも数が少ない上に、男性社会の映画界でヒットしそうな作品の監督というポジションを勝ち取るのは至難の業だと推測されます。

 

とすると『恋空』で若い女性監督が担当することができたのは、他の男性監督たちが撮りたがらなかったからと考えられませんか?

 

 

「素人の方が書いた作品で、原作には批判の声もある。だからこそ新人の女性監督を充てた」と推測できます。

 

これが映画界で、『恋空』が期待されていなかった根拠①です。 

 

 

根拠2:レプロエンタテイメントの思惑

映画には製作委員会方式というものがあり、一つの映画を作るにあたって複数の企業が出資しています。

 

今回『恋空』ではその製作委員会に、ガッキーの所属事務所「レプロエンタテイメント」が入っています。

 

 

芸能事務所が映画の製作委員会に名を連ねることは、珍しいことではありません。

 

しかし事務所が映画に出資するのは、何かしらの理由があるはずです。

 

 

その理由のうちまず考えられるものは、「自社タレントを売り出したい」からです。

 

いろいろと解説する前に、事務所がどんな映画に出資しているのかを例に挙げたいと思います。

 
 
1.『L❤DK』(2014)

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剛力彩芽山崎賢人主演で公開された映画です。こちらは漫画が原作。
 
当時ベリーショートだった剛力さんが、原作に寄せるためロングヘアのカツラを被って演じたのですが、そこまでしてしまうと事務所の影を感じざるを得ません。
 
 
製作委員会には剛力さんの事務所、オスカープロモーションが入り、宣伝協力企業にまで名を連ねています。
 
 
2.好きっていいなよ(2014)

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川口春奈福士蒼汰主演で、公開された映画です。こちらも漫画原作。

 

主演の二人は、研音という同じ事務所に所属しているのです。

 

 

今ではあらゆる映画・ドラマで主演を張る二人ですが、2014年となると絶賛売り出し中の時期だったのでしょう。

 

もちろん事務所である研音は製作委員会に入っています。研音による若手俳優のプロモーション映画に見えてなりません。

 

 

3.愛流通センター(2008)

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知らない方も多いと思いますが、原作が恋空と同じくケータイ小説のものを挙げてみました。

 

ヒロインがホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを獲った足立梨花です。

 

 

その他にもホリプロタレントを大量に使った映画です。

 

ちなみにホリプロのドンである和田アキ子も、特別出演として出ています。

 
 
 
ここまで事務所が映画製作に関わった、3作品を紹介しました。
 
これらの作品に共通するものは、先ほども触れたように「自社タレントを売り出す目的」があったのです。
 
 
芸能事務所にとって大切なのは、俳優女優を売り出すことです。
 
彼らを売り出すためには、「みんなが知っている作品を映画化する」のがとても都合がいいのです。
 
 
だからこそ実写化というのは映画界では期待されていなくても、事務所自身は出資してまでもやりたいのです。
 
『恋空』はガッキーにとっても、そして事務所にとっても大きなターニングとなりました。
 
 
事務所であるレプロエンタテイメントの会社情報の概要を見ると、2007年10月の欄に『恋空』大ヒットと書かれているのです。
 

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(⇧一番下の項目)

 

映画界よりも事務所が力を入れた映画だった。

 

これが映画界では期待されていなかったとされる、根拠の2つ目です。

 

 

 

なぜガッキーが起用されたのか

いくら映画『恋空』が期待されていなかったとはいえ、ガッキーはまだ実績が少ない女優でした。

 

配給会社東宝のサイトの中にある『恋空』のページでは、2007年4月20日に製作決定したと書かれています。

 

 

07年4月当時ガッキーはドラマ出演4本のみで、主演を務めたことは映画ドラマ共にありませんでした。

 

<参考サイト>ガッキー年表 - おくらなっとうの女優分析ブログ

 

 

にもかかわらずガッキーが起用されたのは、キャスティングにも事務所の思惑が隠されていたからです。

 

まず主人公美嘉の恋人親友であるノゾムが中村蒼です。彼はガッキーと同じレプロエンタテイメント所属です。

 

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(⇧一番左が中村蒼

 

 

そして主人公の恋人のヒロを演じた三浦春馬と、2人目の恋人福原優を演じた小出恵介は共にアミューズです。

小出恵介は不祥事があり、2018年にアミューズとの契約が終了しましたが)

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(⇧両端がアミューズ所属)

 

 

主要キャストが、レプロエンタテイメントとアミューズで構成されています。

 

映画を使った、両事務所の俳優女優の紹介動画と呼べそうです。

 

 

ストーリーに適切な役者よりも、事務所が今売り出したい俳優を配役していることが推測されます。

 

そしてレプロエンタテイメントが当時、最も売り出したい若手女優だったのがガッキーでした。

 

 

『マイ☆ボスマイ☆ヒーロー』で知名度が広まり、その熱が冷めないうちにさらに人気を高めたかったのでしょう。

 

一方映画界では『恋空』に興味を示す人がいなかったことが、新人女性監督を起用したことから推測できます。

 

 

新人監督となると「誰を起用するか」に関して、強い発言力がない可能性があります。

 

よって若手女優ガッキーを起用することに、異論を唱えた人はいなかったのでしょう。

 

 

ケータイ小説という話題性に喰い付いた芸能事務所。

 

一方物語としてのクオリティーの懸念から、実写化に期待していなかった映画界。

 

両者の思惑が重なった先に、ガッキーの起用があったのです。

 

  

ガッキーのブレイクには、インターネットの拡散力が必要だった

ガッキーがトップ女優になるためには『恋空』に起用されたこと、そこで絶大な女子人気を得たこと、その勢いで『コードブルー』に出たという奇跡の連続が不可欠でした。

 

その上でケータイ小説『恋空』という、10年前は未知の分野であったインターネットの拡散力もガッキーのブレイクを大きく支えました。

 

 

ガッキーは、インターネットが生んだ奇跡の女優なのです!